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ダメな高校生がスーパーヒーローになろうとする映画、だと思っていんだけど…。 小学生の女の子がゲルルグのような両刃ナギナタを振り回して、ギャング団を血みどろの皆殺しにした瞬間に、(困惑しながらも)すべてが吹っ飛んだ傑作映画だ! 「魔法使いの弟子」とは対極にある「主人公が一歩また一歩と着実に成長していく」映画だ。 数えてみると、①スーパーヒーローとしてコスプレを始めた瞬間 ②初めて悪と対峙したとき ③彼女にヒーローであると告白 ④ラストの活躍 と大きく4度も成長しているのだ。 物語は、絵に描いたような冴えない高校生の主人公が、ネットでヒーローの衣装を購入。そこから夜の街を徘徊し、悪を探す日々が始まる。 そして、車泥棒を見つけ、「何をやっているんだ」と注意。すると、腹をナイフでブッ刺され、車に轢かれて全身を骨折する大怪我を負う。 それでもメゲない主人公のキック・アス君。地道に迷い猫探しを始めていると、チンピラの喧嘩に遭遇。 「ケンカはやめて」と仲裁に入るが、無論ボコボコに。しかし、その動画がyoutubeに流出し、本当のヒーローになってしまうのだ。 *映画「キック・アス」予告編(動画) 上記の物語は、予告編からも想像がつくけど、実は、この「キック・アス」君は、サブ・プロットのようなもの。中盤、「ヒット・ガール」という女子小学生が現われ、俄然面白くなっていくのだ。 このヒットガールちゃんの親は、ダメ人間を演じさせれば世界一、我等がニコラス・ケイジさん。 登場シーンも衝撃的で、ニコラス演じるパパが「これを我慢したら、あとでチョコパフェを買ってやるから」と防弾チョッキを着た娘に銃弾を撃ち込むという場面。 その後、この女子小学生は、コスプレをして、麻薬密売人たちを、ナギナタでバッサバサと切っていく。もちろん、ナギナタなので、手や足が千切れ飛んでいく凄まじいバイオレンス・シーンだ。 この女の子は、ニコラスの妻が死んだ原因となったマフィアの組織の壊滅を狙い、殺し屋としてニコラスが育てた暗殺者だったのだ。 キック・アス君が素人なら、このヒットガールちゃんは、殺しのプロだ。 しかし、10歳かそこらの女の子が、刃物で大人を切り刻むという場面を見たのは、生まれて初めての出来事なので、さすがの僕も困惑してしまった。 その惨殺場面に居合わせたキック・アス君は、麻薬組織から、殺しの真犯人だと間違われ狙われる羽目になる。 ここから、この映画は、暴力度がMAXにまで跳ね上がるのだ。 マフィアに間違って拉致された、ただの高校生であり、ネットの人気者(泣)キック・アス君。 拷問場面はネットで中継されることになる。 それは、バットや各種殴打の道具を使用した、執拗な大人の暴力だ。 この辺は、心底恐ろしい場面だ。 同時に捕まっていたニコラスさんは、生きたままガソリンをかけて火をつけられ、足からゆっくりと燃やされる。なんて、すさまじいシーン…。 この映画の真の悪役は、実は、娘を殺し屋に育てるというトンデモないことをしたニコラスさんだ。だから、当然といえば、当然な死に方だけどねぇ。 そう、この映画は、予告編のような明るいヒーロー憧れムービーではなく、暴力の深遠に足を突っ込んだ親子の破滅の物語だったのだ。 そして、もちろん、ヒット・ガールの復讐がラストに行われるんだけど、そこで、まさかのど素人高校生、キック・アス君が奇跡の大活躍! あの登場シーンは最高! これは見てみないと分からないよね。見てね、この映画。 というわけで、古今東西、こんな映画見たこと無いので、大変興奮して、劇場を後にしました。これ、本当にオススメです。ええ。 (95点)
by aotz
| 2011-02-24 06:46
| 映画(90点以上)
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